一般の皆様へ
出前講義
生理学は私たちが生きている体の正常な仕組みを研究する学問です。現在、約3,000名の会員が生命の営みの謎を解明しようと、日本生理学会の会員となって活動しています。 人が人として生きていくためには、生理機能が関係しています。例えば、心臓が動き、呼吸をし、食物を食べ、排尿し、物を考える、すべて生理学の研究範囲です。また、好きで好きでたまらない異性のことを思い、胸がときめきドキドキしたことはありませんか? ある女性に憧れ恋心を燃やし胸をときめかすのは、大脳皮質の高次の神経機能の働きです。この大脳皮質の高次神経機能が、心臓や血管緊張の調節と密接な関係を持っています。 そして、生理学や解剖学は医学の基礎の中の基礎といってもよい学問です。医学部の専門教育では、先ず「人体の正常構造と機能」を学びます。正常な状態を理解して、その次に異常な状態(病気)がはじめて判断できるようになります。正常な状態がわからないと、病気の診断・治療はできません。例えば、正常な組織がわからないと、その組織が癌かどうかの診断がつきません。正常心電図(正常な心臓機能)がわからないと、患者の心電図が異常かどうかの診断がつきません。「正常構造」は解剖学で、「正常機能」は生理学で学びます。 現在、文部科学省の「ひらめき・ときめきサイエンス事業」をはじめとして、基礎医学研究の研究成果を分かりやすく社会に発表する活動が進められております。日本生理学会でも、私達の研究は主に国などからの支援で成り立っていることをも考え、生理学分野における研究成果を一般社会に還元することが必要と思っています。そして、出前講義や公開講座等について積極的に協力していこうということになりました。若い世代が、生理学会の出前講義を聞き、生命現象の不思議に感動してもらったらと思っています。 日本生理学会の出前講義は、
- 生理学の講義・実習を必要とする小・中・高校、そして一般の人々
- 医学の基礎としての生理学の講演を期待している方々
を対象とし派遣する予定です。会員の派遣の交通費等に関しましてはSSHなどの国からの予算を計上している事業等では、可能ならば御配慮お願いします。それ以外で交通費や実験材料費が必要な場合は、事前に学会とご相談ください。 このような講師派遣を希望される方は、講師派遣の登録者の名前と講義題名を先ずご覧になって下さい。その後、以下の情報を学会事務局までメールで送付してください。2、3週間内に、適当な講師候補を紹介させて頂きます。紹介後は講師と学校側の担当者として打ち合わせを行って頂くことになります。遠慮なく問い合わせて頂ければと思います。
問い合わせ先:日本生理学会事務局(psj@imic.or.jp)
下記項目を記入のうえメールをして下さい。
- 担当者の方の名前、所属、身分、連絡先(住所、電話、メールアドレス)
- どういった団体への派遣か(小・中・高校名、一般)
- どの会員の講義題名・内容を希望するか
- 講義希望日時(最終的には派遣する講師の方との相談となります)
出前講義に関しての学会として行うべきことについても、ご意見を頂ければ幸いです。検討させて頂きます。
講義一覧
開催地を下記から選択してください。
一般の皆様へのご挨拶
皆様へ;
2024年3月から4年間、一般社団法人 日本生理学会の理事長を務めます久保 義弘と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします。
さて、「生理学」とはいかなる学問か、ご存じでしょうか? 生理学とは、文字の通り「生きる」「理(ことわり)」、すなわち「生命(いのち)のしくみ」を明らかにすることを目指す学問です。
生命は、実に巧妙に作られています。例えば、運動したら、酸素をより多く取り込んで体中に届けるために、呼吸と脈拍が増えます。汗をかいて体の水分が足りなくなると水を飲みたくなり、血中の糖分が下がると食べ物を食べたくなります。手足が熱いものに触ったら反射的にひっこめます。勉強したことや過去におこったことがらを記憶することができます。詳細については、生理学会のHPにわかりやすい解説がありますので、ぜひご覧ください (https://www.physiology.jp/physiology/)。これらの様々な生命(いのち)の持つ精妙な仕組みを明らかにする学問が生理学です。
ノーベル賞のひとつに、「Nobel Prize in Physiology or Medicine」 があり、日本語では「ノーベル生理学・医学賞」と訳されます。ノーベル賞の中の唯一の医学関係の賞に、生理学・医学賞という名称がついていることからも、「生命のしくみ」を明らかにする生理学が、医学の中核をなす極めて重要な学問であることがご理解いただけるかと思います。
日本生理学会は、1922年7月10日に第1回の大会が開催された、102年もの長い歴史を有する学会です。日本生理学会では、100周年を迎えた折に、生理学をより広く知っていただく機会とするために、「7月10日」を「生理学の日」と制定することにし、一般社団法人日本記念日協会に届け、正式に受理されました (https://www.physiology.jp/mainnews/25901/)。「7月10日」は「生理学の日」と心の片隅に留めて、生きていることの素晴らしさと、それを支える「生命のしくみ」の不思議に思いを馳せていただけるとありがたく思います。
日本生理学会では、2024年の「生理学の日」に、ホームページでの広報に加え、新たに、X(旧Twitter)に公式アカウント(@PhysiologyJapan)を開設しました。まだ、立ち上がったばかりですが、今後、生理学の研究の成果等についても、解説ページのリンクをお示しするなどしてご紹介していきたいと考えています。また、和英併記により、国内のみならず海外にも情報を発信するとともに、海外の生理学会等の情報についても共有して行きたいと考えています。ぜひ、フォローをお願いします。
日本生理学会の使命として、生理学の研究や教育を充実したものにしていくことが挙げられます。同時に、学問を取り巻く環境をより良いものにしていくために声を上げたり、社会に対して生理学に関する種々の啓発活動を行ったりすることも重要な使命です。それは次世代の育成につながる大きな意義も有しています。啓発活動の一環として、日本生理学会では「小・中・高等学校などへの出前講義」や各種の「アウトリーチ活動」にも取り組んでいます(https://www.physiology.jp/lecture/)。ご要望がありましたら、ご一報いただければと思います。
皆様、日本生理学会を、どうぞよろしくお願いいたします。
日本生理学会 理事長 久保 義弘