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129. TRPC6におけるCa2+-依存的不活性化機構の解明と腎病変「巣状糸球体硬化症」への関与 —ブレーキ機構CDIの破綻が腎疾患の原因—
研究者
ポラット オヌール(Polat Onur)1, 宇野雅俊2, (杤尾豪人2, 森誠之1,*) 1京都大学大学院工学研究科合成・生物化学専攻分子生物化学分野 2京都大学大学院理学研究科生物科学専攻生物物理学教室 *(現所属)産業医科大学医学部生体物質化学
腎糸球体の病変を示す巣状分節性糸球体硬化症(focal segmental glomerulosclerosis, FSGS)は,ネフローゼ症を呈する難治性の腎疾患として知られています。このFSGSの原因遺伝子としてTRPC6と呼ばれるCa2+を透過するイオンチャネルがあり,以前から着目されていました。しかしながら,TRPC6変異と病態発症の関連性は明確ではなく,詳細な解析が求められていました。 本研究では,TRPC6のカルシウム結合タンパク質calmodulin(CaM)のCa2+依存的不活性化(Ca2+-Dependent Inactivation: CDI) への関与を検討しました。 その結果,コイルド‐コイルドメインに変異を持つ,全てのFSGS型TRPC6において顕著なCDIの遅延を認めました。 更にCDIの破綻が引き金となって,アクチン骨格に異常が生じることをポドサイト(糸球体上皮細胞)の実験から見出しました。 本研究から,チャネロパシーの分子メカニズムや,有性遺伝性を示す理由,糸球体硬化症における持続性Ca2+流入の重要性といった新たな知見が得られ,治療への足掛かりがより明確になったと考えています。
Polat OK, Uno M, Maruyama T, Tran HN, Imamura K, Wong CF, Sakaguchi R, Ariyoshi M, Itsuki K, Ichikawa J, Morii T, Shirakawa M, Inoue R, Asanuma K, Reiser J, Tochio H, Mori Y, Mori MX. Contribution of Coiled-Coil Assembly to Ca2+/Calmodulin-Dependent Inactivation of TRPC6 Channel and its Impacts on FSGS-Associated Phenotypes. J Am Soc Nephrol. 30(9):1587-1603, 2019. doi: 10.1681/ASN.2018070756.

TRPC6におけるCDIとポドサイト細胞骨格の関連性: CDIがある通常の時はポドサイトのアクチン骨格はストレスファイバーを持つ(左)。CDIが破綻するとアクチン骨格に異常が生じ,アクチン骨格が放射状の形態を持つ。 その結果ネフローゼ症候群につながる(右)